妖のおはなし:白い女(第五話)

白い女 発祥元:現代怪談

幽霊画として通称白い幽霊というのがありまして霞の様にふわっとしております。幽霊とは文字通り幽かな霊で円山応挙が広めたとされる下半身が透けてオーバーラップしている様なイメージでしょうか。現在では霊だけでイメージが統一されておりますが。昔はこの霊という言葉には様々な分け方で考えられておりまして、古くは鬼が幽霊の意味で後に怨霊を指す様になり、わざわざ死んだ霊を死霊、生きている霊を生霊などと分けます。霊と魂はほぼ同義で、道教に三魂七魄と云う考え方があり、三つの魂と七つの感情で人間は出来ているので殭屍は魄のみの状態だと云われています。三つの魂は天と地と身体にそれぞれあります。日本に道教はあまり馴染まなかった様ですが魂と魄の考え方など一部は当時の知識人が取り入れてはいた様な感じを受けます。

妖ばなしの中でお化けは何故怖いか?を描いておりますが人がお化けを怖がる理由の一つに自分の生活圏内、パーソナルエリア内の侵入があります。家、若しくは自分の部屋というのはそれ自体が結界の役割をしているため他人は入ってこれません。西洋の吸血鬼は家に招かれないと家に侵入できないとされるのはやはり家が強力な結界であるという考えに由来している様に感じます。もし、夜中に目が覚め、見知らぬ何者かが部屋に侵入していたら、これは幽霊であろうと人であろうと怖いです。また、お化けを確かめる手段として夜道の問いかけがあります。電灯も無い昔の夜道前方に誰か人の気配がある場合必ず「もしもし〜」と問いかけるのが良いとされます。相手が「もし、、」一文字だった場合それはお化けなのだそうです。「ガモー」や「モモンガ」もお化けの発する言葉だとか云われており人とは違う言語を話します。これは狭いコミュニティの中での異文化の介入はそれ自体が怪しい存在、つまり妖怪の誕生となりどう対処して良いか解らないから怖いというわけです。

極論、幽霊が怖いという人は人が怖いという事と同義なのです。

(妖ばなし文芸部/文責:杉本末男(chara)・イラスト:けんじゅー)

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