妖のおはなし:つらら娘(第六話)

つらら娘 生息地:新潟県

雪女が雪の化身であるなら、つらら娘はその名の通り氷柱の化身でありますので妖精の類いであろうと思われます。東北には氷柱の精の話が多いのですが地方に寄って名前どころか推定年齢が違ってたりいたします。つらら女とか、つらら女房、山形のすが女房、新潟県や富山県の一部では、氷柱をかねっこり、と言うらしく、新潟県では娘の姿をしておりましてつらら娘はかねっこり娘とも呼ばれています。

面白いのは氷柱の精の伝説は地方に寄って年齢差があるという事です。

ただ伝わっているお話は細部は違えど大きく分けて2つのパターンに分かれます。氷柱が出来そうな寒い夜の事、誰かが入り口の戸を叩くので見に行くと、外に立っている女の子がおります。これは可哀想にと家の中に入れ、家の主人が寒かろうとお風呂を勧めても不思議なことに、彼女は頑として断り続け。無理をして勧め、お風呂に入れさせて湯加減を尋ねるが、返事が無い、開けてみると風呂には娘の姿はなく、一片の氷だけが残っていたというお話とやはりとても寒い夜に家に訪ねて来た不思議な女は家の主人と結婚するが春になると、女はどこかに消えてしまい。主人は女に逃げられたと思ってがっかりしましたが、やがて別の女と出会い結婚します。やがて再び冬が来まして、ある時、軒下に大きな氷柱がぶら下がっていて、主人はその氷柱を叩き落した。家の中にいた妻が悲鳴を聞いて外に出てみると、主人はつららに首を貫かれて死んでいた。という押しかけ女房の復讐劇のお話です。

つらら娘に詳しい新潟妖怪研究所の高橋郁丸所長に寄ると新潟県のつらら娘は前者の溶けて消えてしまう方の話で男を刺し殺す話は秋田県の伝説の様です。また、刺し殺す物語は男の裏切りに対しての報復なのでつらら女房の方の話の様です。

どちらの話にも共通している重要な点はどちらのつららの精も男性の元から消えてしまうことです、雪女の様に別れを告げて去るのでは無く何も言わず消えてしまうのです。そしてまた氷柱が出来る頃に再び姿を現わすのは正しく氷柱の持つ美しさと儚さの中に生まれた妖怪だと思います

(妖ばなし文芸部/文責:杉本末男(chara)・イラスト:けんじゅー)


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