妖のおはなし:こんな晩(第九話)

こんな晩 発祥元:日本各地、古典会談

日本各地に残される古典怪談の一つで、多くの場合、題名は「六部殺し」と呼ばれております。題名の六部というのは人の苗字ではなく六十六部の略で66カ所の寺社に写経した法華経を奉納する、巡礼、または巡礼の僧のことを言います。その六部の僧が月の綺麗な夜にあるお百姓さん夫婦の家に一夜の宿を乞います、夫婦は快く迎えてお持て成しをしましたが六部が大金を持っていると知った百姓夫婦は六部を殺して金を奪い。六部を埋めてしまいます。やがてその金を元手に財を成し、子宝にも恵まれましたがその子は幾つになっても口が聞けないままでした。月の綺麗なある夜夜中に我が子が目を覚ましたので子供を便所に連れて行くため主人と子供は外に出ます、綺麗な月夜、六部を殺した日と同じでした。そんな時今まで口が聞けなかった子がこんな事を言います。

「お前が俺を殺したのも、丁度こんな晩だったな」

子供の顔はあの殺した六部の顔だった・・・という子供の台詞から「六部殺し」は「こんな晩」という題名でも語り継がれております。

各地に伝わる話は色々バリエーションがあったり細部が諸々変わったりしてますが概ねこういう内容のお話です。外部から狭いコミュニティへの侵入、そしてそこから悪意が誘発され人は鬼へと転じてしまいます。案外、昔も今も人の欲は変わらない気がします。

因果応報、親の因果が子に報いの典型的な古典怪談の名作であります。

(妖ばなし文芸部/文責:杉本末男(chara)・イラスト:けんじゅー)


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